マグニチュードの所で考えたように、指数関数(対数)で表されているものは、数値が1異なると想像以上に大きな差となります。どんなものに指数関数が使われているか、みてみます。大まかな部分しか理解していないので興味をそそられた方は、別途お調べください。

放射性物質

放射性物質は、危険な物質なのでいつになると危険性はなくなるのか?という問い合わせに対して、よく半減期という言葉が使われます。放射性物質は、原子核が崩壊してほかの原子核に変化することがあります。その確率は、放射性物質ごとに決まった一定の値となっています。ある放射性物質の集団が一定の確率に従って崩壊していき、全体として1/2になる期間のことを半減期と言います。半減期1回分の年月の経過で放射性物質の数は1/2に、2回分の年月の経過では1/2×1/2=1/4となります。これも繰り返しの掛け算です。例えば「炭素14」という放射性物質は、半減期が5730年です。また、原発事故で問題となった「セシウム137」の半減期は、30.1年です。この性質を使って考古学では、ある地層から放射性物質を見つけその半減期から時間をさかのぼり、その地層の年代を推定しているようです。詳細は知りません。式で表すと、y=(1/2)^χ (χは指数です)という式になると思います。χに半減期の回数を入れると放射性物質が現在何分の一になっているか?ということがyです。

星の等級

何等級星というのも指数関数に関係があります。古代ギリシャ時代だそうですが、トップクラスの明るさの星(恒星)を1等星とし、肉眼でやっと見える星を6等星と決めました。16世紀になって各星の光の量を正確に測定しました。すると6等星に比べて1等星は、光の量が約100倍であることがわかりました。5段階で光の量が100倍になるということは、1段階あたり2.5倍ずつしていくと6段階目で2.5^5=97.66 で、約100倍になります。基準になる星を6等星とすると、光の量が100倍である1等星は、2.5を何乗すれば100になるか ということなのでまさに対数の考え方(log2.5100)です。左の2.5は対数の底。2.5を5乗すればおよそ100になるのですから、この星は基準となる6等星から5等級分明るい1等級の星なのでこのようになります。

音の大きさはdB(デシベル)という単位で表されます。これも対数です。人の聞き取れる最小の音(0dB)を基準とします。音圧で言うと10^-5Pa(パスカル)です。これをP0とします。普通の会話では、音圧は10^-2Pa、地下鉄のホームでは1Pa、ジェット機のエンジンの騒音では10Paになります。dBはこのような音圧Paから、定義されていて

20×log10(Pa/P0)でdBをあらわします。10は対数の底です。地下鉄のホームの場合、Pa/P0=1/10^-5=10000なので、20×log10(100000)=20×log10(10^5)=20×5×log1010= 先の10は対数の底。で、100dBとなる。

ジェット機の騒音では 20×log10(10/10^-5)=20×log10(10^6)=20×6×log1010=120dBとなる。

音階

くりかえしの掛け算は、ドレミファソラシドのような「音階」にも登場します。基準はA(ハ長調のラ)の音440Hz(ヘルツ)です。音の高さが半音上がる(下がる)たびに振動数が1.06(-1.06)倍になります。yを音の振動数、χをA基準の音階とするとy≒440×1.06^χの関係になります。χが大きくなるほど振動数が急激に大きくなります。この1.06はどこから出てくるのでしょうか?

音が1オクターブ(半音が12)上がると振動数は2倍になります。1.06^12はおよそ2になります。1.06という数字は、このことをあらわした関係式「r^12=2」から計算によって出てきます。ここでrは半音下げる(上げる)ときの弦の長さの比率、「12」は1オクターブが12の半音からなること、2は1オクターブで減の長さが2倍(1/2倍)になることを示しています。ですので音階と振動数の式は、y=440×2^χ/12の方が正確です。

酸性・アルカリ性の指標「pH」(昔はドイツ語読みでペーハーと言った)

pHの数値は水溶液の中で水素イオン(H+)濃度がどれくらいかということを意味しています。水溶液中の水素イオン濃度は、酸性やアルカリ性の程度によって非常に大きく変化します。最も強い酸性の水素イオン濃度を1とすると、最も強いアルカリ性のイオン濃度は、10^-14と14桁にもなります。そのため、水素イオン濃度の値を[H+]で書くとpHは対数を使って、-log10[H+]であらわすことにしました。pHの値がプラスとなるように-を頭に付けています。

投稿に当たり雑誌ニュートンの対数の箇所を参考にしました。より詳しく知りたい方は、そちらを参照してください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です